イギリスは、過去に強力な艦隊で全世界を指揮した海軍強国でしたが、第一次世界大戦前後にその立場を
失ってしまいました。戦争の勝利に陶酔していたこともあり、第一次世界大戦後、世界各地の植民地で
起こった民族運動を収めるだけでも手が足りず、ついにドイツが第二次世界大戦に突入した初期には
既にお手上げ状態となっていました。結局、アメリカに世界第一の海軍強国の座を受け渡すことになりますが、
第二次世界大戦での魚雷最長距離命中記録や、秀逸な潜水艦対潜水艦の水中撃沈記録など、
大英帝国として世界トップクラスの底力を見せました。
イギリス艦の特徴は、艦橋の装甲が比較的薄く、船体側面の装甲が厚いという事です。艦橋の高さは低く、
艦中央部分の艦載機の格納空間と高く突き出ている二つのマストもイギリス軍艦だけに見られる特徴です。
武装の面で見ると艦の砲門数が多く、口径が小さい事も特徴の一つです。また、レーダーという新技術を
始めに導入し、戦術における一代革新を成しました。
イギリスの航空母艦は、世界でも前例の無い「装甲甲板」というものを持っていました。
これは、アメリカと日本の航空母艦のように艦載機の滑走路である甲板が木で出来ているのではなく、
厚い装甲で覆う事により防御力の極大化を図ったものです。それは、イギリス航空母艦の主作戦海域が
地中海、北海といった敵航空兵力の脅威が深刻な地域だった事が由来しているようです。
この装甲甲板の防御力は絶大で、太平洋戦争時に恐れられていた日本軍の神風特攻を受けても
軽微な損傷に過ぎず、ものの3時間程で修理を完了させることが可能でした。現代航空母艦の標準的な
形式になった装甲甲板は、イギリス海軍によって既に第二次世界大戦の時に形を成していました。
しかしこの「鎧」にも致命的な短所がありました。それは、同等の排水量を持つアメリカや日本の
航空母艦と比較して、搭載機の数が半分程度しか積むことが出来なかった事です。
イギリス海軍の代表的な艦船としては、イギリスの自尊心といわれるキング・ジョージV。戦闘巡洋艦級で、
排水量が45,000tに至ったフッド。イギリスの仇敵であったビスマルク撃沈の際に大きな活躍をした戦艦ロドニー。
航空母艦ビクトリアスなどがあります。特にキング・ジョージV級の艦船は、当時のイギリスの最高技術が
集約された産物で、どんな攻撃でも沈没しない「不沈艦」といって自尊心も凄かったのですが、同型艦の
プリンスオブウェールズが2時間5分余りの死闘の末に日本海軍航空隊に撃沈され、イギリス海軍は
衝撃に包まれることになります。
写真右:イギリス艦隊の自尊心とも言えるキング・ジョージV。
結果としてビスマルクを沈没させ、フッドの復讐を果たしました。
写真左:航空母艦ビクトリアスの装甲甲板から離陸する艦載機。
日本軍の中でイギリス艦の装甲甲板は堅いという事で有名でした。 |